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2010/05/03

廊下にて③

さて、デキモノを切り取られた廊下には穴が開きました。大人の人の頭がすっぽりと入るくらいの大きさでした。
床の下には何もなく、用務員さんも5年生の先生も何かが下から押しているものだと思っていたので、ポッカリ黒い口を開けた穴に拍子抜けしてしまいました。
「何もなかったですね。」
5年生の先生が穴の底を見ながら言いました。用務員さんも腕組みをして穴の底を見ながら答えました。
「…ええ。」
「何か、木が下から生えてきてた、とかね。」
「…ええ。」
「ギュッと、こうね。」
「…ええ。」
「…何もなかったですね。」
そのあとは二人ともどうしていいかわからずに黙っていました。穴からは少し風が吹いてきていて、乾いたカビのような、日の当たらない裏庭のような、どこかで嗅いだことのある匂いがしました。

そしてそのうち授業の終わりのチャイムが鳴りました。それを聞くなり、先生が言いました。
「すいませんが、今日のテストの丸付けがあるので、あとお願いしていいですか?」
先生は用務員さんを廊下に残し、職員室に帰って行きました。

用務員さんはどうしたものか少し考えていました。が、『グウゥ』とお腹も鳴ったで、そろそろ帰ろうかという気持ちになりました。猫車に丁度いい大きさのベニア板があったのでそれを取り出して穴の上に置きました。そしてその上にパイロンを置きました。それから猫車をぐるんと大きくUターンさせて用務員室に帰りました。

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こばなし」カテゴリの記事

コメント

きっとその穴からはぁ…
きっと何かが生えてきますよねぇ??

相変わらず☆

タケオさんのおはなしにはワクワクさせられて♪大好きですっ♪

続きに期待してますっ!!

投稿: スズキ☆ピロ | 2010/05/05 21:48

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