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2010/03/08

廊下にて②

用務員さんが猫車を押してやってきた。早速コードリール降ろすと、コードをカラカラと引きだして電源の差し込み口を探している。
廊下に残っていた5年生の先生が、猫車の中を覗き込んで驚いた。道路工事で使うような本格的な掘削機があったからだ。

5「え?これ使うんですか?」
振り向くと用務員さんはそこにはおらず、ずっと遠くの電源にコードを差したところだった。
歩いて戻ってきた用務員さんに先生はもう一度言った。
5「まだ授業中なので、これはまずいんじゃ…?」
「え?」
5「だって、これってすごい音しますよね?ダダダダーって。」
「そうですね。ダダダダーっていうよりダララララーですけどね。」
5「(…一緒だろ?ツバ飛んでるし。)」
用務員さんは猫車の中をゴソゴソして、じゃあこれでと言った。取り出したのは『取扱注意』『火気厳禁』と刻印のされた木箱。
5「…これは火薬ですよね。」
「そうです。」
5「もっとダメじゃないですか。」
「ハハハ、冗談ですよ。」
用務員さんはそう笑って先生の腕をポンと叩くと、今度はズボンのポケットから果物ナイフを取り出した。永いこと愛用しているのだろう。木でできた持ち手が飴色になっている。
5「(…あんな小さなナイフで…?この人に任せて大丈夫かな?)」
用務員さんはこんもり盛り上がった床のところにしゃがみ込むと、ナイフを巧みに動かしている。後ろからではよく見えないので、先生が体をよじって覗き見た。
5「!?」
用務員さんの手元では、リンゴの皮を剥くように廊下の床が剥かれていたのだ。

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こばなし」カテゴリの記事

コメント

このおはなしをよんで☆何でだか☆
昔憧れてた、ナウシカの持ってる何でも切れそうなナイフを思い出しましたぁ☆
大人になった今でも魔法のスティックとかコンパクトとか♪
ワクワクしますっ♪笑

投稿: スズキ☆ピロ | 2010/03/11 07:43

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