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2009/12/24

郵便局員AとB

郵便局の仕分け作業場の片隅に小さな机があって、二人の男が顔を近づけて作業をしている。机の上にゴチャゴチャと広げているのは、宛先不明で差出人不明という行き先のない郵便物だ。彼らはそんな迷子の郵便物を一つひとつ調べて、可能な限り宛先へ届けるのが仕事だ。

A「では、次いきます。」
B「はい。」
A「えー、宛名『なし』、差出人は『なし』。」
B「何も書いてないの?」
A「はい。」
B「切手は?」
A「あり。80円。」
B「なし、なし、あり、と。ちょっと貸して。」
Bは封筒を受け取ると鼻を近づけた。
B「…んー、少しあぶってみよう。」
そう言われたAは了解と言うと封筒を足元のストーブに近づけてあぶり始めた。少しすると何も書かれていなかった封筒に、じんわりと文字が浮かびあがった。
A「あ!出た!」
B「よし。読める?」
A「ん?フィン…ラ…ンド、フィンランド!」
B「フィンランド?名前は?」
A「サソタ?サリタかな?」
B「ああ、サンタじゃないか?」
A「フィンランドでサンタか!なるほど!でも80円でフィンランド?」
B「無理だな。じゃあ(株)サンタクロース杜王出張所へ。」
Aはあぶり出した文字の隣に新しく住所を書き込んで、出入口付近の簡易ポストに投げ込んだ。
A「でも何でわざわざあぶり出し?」
B「さあ、そこはいいんじゃない?」
A「今からで間に合うかな?今日24だよ?」
B「大丈夫、相手はサンタだし。はい、次いこう次。まだ山ほどあるんだから。」

二人の仕事はこんな調子で延々と続くのだ。

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