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2009/11/01

15と1/2.宵闇キャンディー

彼が高校生の頃の事。

自宅の机の引き出しの奥からキャンディーが出てきた。ベルガモット・コーク・キャンディー。かなり年月の経ったもので、両端をつまんで引っ張ると真ん中の膨らみがクシャと潰れた。はてな?包み紙を広げると、真っ黒でかなり小さく干からびたキャンディーが入っていた。

思い出した。そのキャンディーは小学生の時、クラスの女の子が転校する日にみんなにくれたものだった。みんなはその場で食べていたが、彼にはそうできなかった。大切に保管しずっとそのままになっていたのだ。

その後、彼は久しぶりに小学校にやってきた。日が暮れかかった校庭や木造の校舎は当時よりも小さく感じられた。しばらく校舎の回りを散策した後、彼は小便小僧のそばで見つけたスコップで校庭の真ん中の硬い土を掘り始めた。

ザクザク。

30分くらい掘っただろうか、気が付くと辺りはすっかり暗くなっていた。月なんかもポヤッと出ていたかも知れない。穴の底が見えないくらい掘った。彼はポケットから例の干からびたキャンディーを取り出して埋めたのだった。

もう何十年も前の、ただそれだけのはなし。

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おはなし」カテゴリの記事

コメント

ただそれだけ★だけどステキなおはなしっ♪♪♪

私の実家の机の引き出しには☆昔大好きだった子からバレンタインデーのお返しにもらったお菓子の包装紙が☆まだ捨てられずにずっと眠っているはずですっ☆笑

投稿: スズキ☆ピロコ | 2009/11/01 03:29

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