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2009/04/24

7と1/2.ポゴ送別会inコラベ・ニクウス

「…こんな高そうなとこでするんだったら先に教えててくれたら良いのに…。そう思わない?」
ドワノはぐるりと辺りを見回した。自分と同じ会社のジャンパーを着ている人は他に誰もいない。
「でもドワノ、社内メールで回覧きてたよ…。」
「嘘?メールとか、そんなの見方わかんないし…。」

わざと薄暗い店内にブッフェスタイルの料理のカウンターだけがスポットライトで照らされていて浮かび上がって見える。分厚いドアのところには正装のスタッフが、ゲストのグラスに気を配って待機。ウェイターは片手で大きなお盆を持ってスイスイと動いている。奥の方ではビシッとスーツできめたプシュカフが、経理の女の子2人とワイングラスを片手に談笑している。
「3つ星だって。」
「何が?」
「このレストラン。」
「俺は居酒屋でやると思ってたよ。」
ドワノはまだふて腐れている。席の壁には国王陛下と太ったコックさんが笑顔で写っている写真が飾ってある。どうやら国王陛下はこのテーブルで食事したらしかった。
「まあ、貸し切りでよかったさ。」
「…うん。…じゃ俺、ポゴさんとこに注ぎに行くわ。」

ポゴはコックさんと若いウェイターと3人で談笑していた。コックさんは国王陛下と写真に写っていた人だ。大袈裟な程背の高い帽子をかぶっているのをみると、彼が一番偉いのだろう。もし彼より偉い人がいたら、帽子が天井に着いてしまうだろうから。
「おぅ!ドワノ!」
ポゴが気付いて手招きした。
「じゃあ、私達はこの辺で。」
「ごゆっくりどうぞ。」
コックさんとウェイターは揃ってポゴに会釈をして、バックヤードに戻っていった。
「ドワノ、いいジャンパー着てんな。」
「…もう何とでも言ってください。しかしすごいところですね。」
「な、俺も初めて来たよ。」
「そうなんですか?」
「酒が全然口に合わねぇ。ワインが接着剤の味すんだ。ほら。」
ポゴがそう言ってグラスをすすめた。
「うぇ、何これ。何か変な添加物入ってんじゃないですか?」
「だから言ったんだよ、ウェイターに。したら『樽で長いこと熟成したワインです。深い風味をご堪能ください。』だって。困ったや。ま、座れや。」
「え?でもここ、誰かいますよね?」
ポゴが座れと言った席にはグラスと食べかけの料理が置いてある。
「平気、平気。社長のだから。」
「な!社長も来てるんですか?」
ドワノは急にソワソワしだした。
「社長は嫌いか?」
「いや、嫌いではないですけど、偉い人って苦手です。」
「社長ったって何も変わんないよ。ほら見てみ。」
ちょうど社長がハンカチで手を拭きながら暗がりのトイレから出てくるのが見えた。社長が料理のカウンターの側を通った時にスポットライトが社長を照らし出した。
「あ。ジャンパー。」
「な、社長ったってお前と何も変わんないだろ?」

社長もドワノと同じリケル食品のジャンパーを着ていたのだ。

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コメント

この3つ星レストランに行って、この太っちょコックの料理を食べてみたいっ(*^ω^*)

ところでリケル食品☆相変わらず素敵なメンバー♪素敵な会社ですねっ♪
うちの会社ときたら、社長は北朝鮮のキムなみの王様っぷりでぇ…(-ω-;)
もし再就職するならば、サルコのようにリケル食品にしますっ(*>ω<*)

投稿: スズキ☆ピロ | 2009/04/24 07:41

みんなテキトーなんですね。でもやることはきちんとやっていて、プシュカフなんかは頑張り過ぎて体調崩したりもします。

投稿: おおたけ | 2009/05/22 18:20

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